秘宝館SS 玄霧弦耶@玄霧藩国さん

逆転満塁3ラン!!

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目の前にそびえるのは白亜の病院
今日こそは愛しのあの人に想いを伝える為にやってきた一人の青年
白亜の病院はひどく慌しく、青年の心をひどく不安にさせる
愛しのあの人の元へ急ぐ青年
その前に立ち塞がる怪しい影
青年は想いを伝える事ができるのか!?

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本当はもっと早くに会いに行く予定だったのに…
キミは藩王のとしての激務と様々なスケジュールに追われ彼女がいる病院に行く事ができたのは一月も経ってしまった。
昨日、事件があったようで病院の中は人がめまぐるしく動き回っていた。キミが何度か部屋の事を聞こうとしても相手にされなかった。4,5人目に聞いてやっと聞き出すことができた。階段に向かおうとした時に上の階にあがっていく第4異星人のイカナがいた。
キミは階段を一段飛ばしで駆け上がり彼女が居る病室に向った。キミが静かに部屋のノブを回して中を覗いてみると。第5異星人のイカナと話をしている火焔の姿が見えた。
キミが中に入ろうとするのと同時にイカナが大きく口を開けて火焔の方にむかった。思わずキミは病室の机をイカナの口にもっていき
「まったー!!」
と叫ぶと、意外な所から凄い言葉が飛んできた。彼女が第4異星人の言葉を話していたのだ。そして、机はバリバリバリと音と立ててイカナの口の中に消えていった。
キミは何が起こっているのか理解できず、辺りの様子を見ていると視界に火焔が嬉しそうにイカナの方を見ているのに気がついた。
そうすると、イカナは口をもごもごさせるとさっき食べたテーブルを復元させて口から取り出した。その光景をみて彼女は拍手喝采できゃっきゃしているのがとても微笑ましく思えた。そして、
「いや、びっくりした…」
「やぁ、火焔。こんにちは」
と挨拶すると、彼女の冷たい視線を投げかけた後にイカナに
「私も消えられるかな? できる?」
「まってくれ!!まだ俺は何も証明してない」
と咄嗟に彼女に近づこうとするとイカナに邪魔されて彼女に触れる事もできなかった。イカナは彼女にむかって
「オメ、食べられる?」
「うん。ここでないどこかへ行きたい」
そして、キミに向って
「もういい。1月、まったから。バイバイ」
と言うとイカナに抱きついてお願いといった。イカナは病院の窓から彼女を抱えたまま飛んでいった。キミの言葉も想いも彼女には何一つ届いてはいなかった。キミが彼女を追いかけるために窓から飛び降りようとしたらイカナは自分を飲み込み始めて自分自身をこの空間から消えてしまった。
キミはただそれを見送る事しかできなかった。

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キミは足が棒になりそうなぐらいこの小笠原を走り回っていた。ただ、闇雲探しても見つからないはわかっていたが探さずにはいられなかった。限られた時間の中で彼女に自分の想いを伝えなくてはいけないという重圧がキミを押し潰そうとしていた。
気がつけば山の中に迷い込んでいた。この時にふと思い出したのはコガの存在だがこれは彼女と自分の問題なのだからと頭を切り替えた。
その時、キミはここに何しに来たのかを思い出した。そう、キミ自身の想いを伝える為に来たのだと…。キミは見晴らしのいい山の頂上に上がってキミは祈るような思いで声を上げた
「かーーーーーーえーーーーーーーーーーーーん!!」
「好きだ!愛してる!むしろそんな言葉じゃたりん!」
「俺は!お前がいないと!ダメだ!」
「一ヶ月待たせたなら!しぬまで一緒にいる!」
「俺はお前がいないと何も出来ん!流石にダメすぎるけど!宗としか思えん!」
「だから!だから!」
「出てきて指輪をはめさせてくれ!!」
「オレが作った!お前のことしか考えてない!」
ここまで言って、一呼吸おいて
「頼むっ!まだ俺はお前にキスの一つもしてないんだ!」
この言葉を言った後にキミはそのままぶっ倒れた。もう、伝えたい事は全部言ったはずだ。すでに頭の中はすでに真っ白で彼女がどこかで聞いていることを信じて待つ事にした。

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キミが天を仰いでいると目の前に大きく皿の様な目玉が現れた。思わずキミは
「うぉっ」
と言って飛び起きた。この目は彼女を連れ去ったイカナの目だ。キミはイカナの目を誠実な瞳で見返しながら
「嘘偽りは何も無い。イカナが火焔を守るなら俺を試すといい」
「俺は、おまえ(イカナ)なんか見えない。火焔しか見えない」
暫しの沈黙があって、イカナは大きく口を開いた。その奥には彼女の姿があった。キミは反射的にその口に飛び込み彼女の手を強く握り締めた。そうするとイカナが飛び込んできたキミに歯を立ててきた。キミのわき腹に痛みがあった。だが、彼女の手だけ離さなかった。
そして、キミが必死なってイカナの口から彼女を連れ出して
「こっちを見てくれ、火焔!!」
「オレがお前を見てないというなら、確認してみてくれ。俺の眼の中には火焔しかいない」
とキミが想いをぶつけているが彼女は目を細めて疑惑の眼差しをキミに向けてきた。
キミはおもむろに胸ポケットにしまっておいた指輪を取り出し彼女の左手を掴んで薬指に指輪をはめた。それでも彼女はそっぽを向いたままだった。追いつめられたキミは最後の手段にでた。これでダメだったら本当に終わると覚悟しながら…。
キミの中でこんなはずではと思いながら不意に彼女の唇を奪った。その瞬間に殴られたが痛みを覚悟したキミの本気を止める事はできなかった。そして、唇を離して第一声が
「早いっ」
「言葉で納得してくれないなら」
どこからともなくコガが現れた。きっとキミの後をつけてきたのだろう。キミはさらに言葉を続けて
「行動ですることにした」
「オレがこんなことできるのはもう後にも先にも無いと思うから。今逃げられるとイヤだから」
キミが必死になって説明している様子をみて彼女は嬉しそうに
「どうしよっかなー。1月またされたから返事も来月でいいよねー」
とキミに話しかけてきたがキミは少し笑ってもう一度彼女の唇を奪っていた。彼女も一回殴ったけどさっきのそれではなく痛みはなかった。そして、キミの顔をみつめて嬉しそうに敬礼をした。

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「じゃ、また明日ね!」
と彼女はコガに騎乗して立ち去ろうとしているのをキミは必死なって止めようとしていた。
「だめだ! 今、返事をして欲しい。俺はわがままなんだ」
「なんで?」
「簡単だ、俺は気が弱い。今わからないと明日にはもっと凄いことになると思う」
「これ以上押さえきる自信が無い。俺に安心をくれ」
と参謀長の時でも決して泣いたりなどしないキミが半泣きになりながら彼女に語りかけている。そんな言葉を
「やだ」
「一生、不安でいてね?」
とキミの顔を覗き込みながら小悪魔的な笑みを浮かべている。そんな彼女が可愛いなぁと思いながら
「そんなこといわれたら…。このまま攫って帰るぞ」
「だって……。そっちのほうが、良く来てくれそうだし」
「安心しろ、今から帰って式を挙げれば一生一緒だ。態々会いに行く必要もない」
「いつでも一緒だ。というか頼む。そうじゃないと多分俺は心労で伏せってしまう」
「信じられない」
「信じてくれ! 一生面倒見る。そして、子供も作ろう。まだ、少し早いかもしれないが…。」
彼女が目をキラキラさせながら
「私を火焔様って呼べる?」
「それはダメ。俺は火焔って響きが大好きだからな。様は無粋だ。無くても可愛い。無いほうが可愛い」
彼女は拗ねたように目を伏せてキミを見つめて
「そう」
「でも」
「どうしても呼べって言うなら、呼ぶ」
「ごめんね」
「イカナ!」
キミはもうダメだと思いながら
「火焔様!」
「これでいいか!」
「変な意地張ったのは悪かった!」
というと、さっきの顔が嘘なぐらい輝く笑顔をみせて
「わぁ。あと何しようかな・・・」
その嬉しそうな顔を見てキミは覚悟を決めた。
「惚れた弱みだ。なんでもしよう」
そんなキミの顔に彼女はキスをして、微笑ながら
「じゃ、コガも一緒につれてってね?」
「もちろんだ」
「他には?火焔様」
「もう、ない」
「そうか。じゃあ帰ろう」
そのあと、コガに騎乗して一緒に帰っている二人の姿はとても幸せそうだった。

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